経済産業省が発表した「DXレポート」、その内容を3分で解説!

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日本にはIT設備やシステムの更新に悩む企業が多く、特に社歴が長いほど古いシステムの利用率が高いため、システムやデータ移行を検討中の会社もありますよね。記憶に新しいところでは、2020年初めのWindows 7のサポート終了を控え、PCやシステムの更改対応をされていた方もいらっしゃるでしょう。

こういったITシステムの問題について、日本政府は「DXレポート」なる資料を公開し、日本企業のIT活用の近代化を促しています。DXに対応できない企業は「デジタル競争の敗者」になるとも警告しています。つまりDXを実現することは、企業にとって優先度の高い課題です。

そこで、今回は経済産業省が公表した「DXレポート」や、のちに策定された「DX推進ガイドライン」、「DX推進指標」について紹介します。記事の末尾にはDX推進のポイントも解説していますので、御社のDX推進のヒントとして取り入れましょう。

 

経済産業省が出した「DXレポート」の概要

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まずは経済産業省による「DXレポート」の概要を紹介します。DXレポートとは、2018年に経済産業省が発行した、日本企業が抱えるITに関するさまざまな課題の影響について分析した報告書です。

DXレポートの内容は、多くの企業が抱える古いITシステムが成長を阻害し、新たな時代の競争力強化の足かせになっていること、また、古いシステムやベンダーに頼りきりの企業が、サポート終了により業務停止の事態におちいる可能性を指摘しています。

(※サポート終了とは現在提供中のシステムの更新や対応が行われないこと。セキュリティ問題や重篤なエラーに直面する恐れあり。)

その象徴として、DXレポートでは世界的な基幹システム(SAP/ERP)のサポート終了に注目し、大きな節目は2025年に来る、と予想しました。そして、それまでにITシステムのドラスティックな刷新(DX)が必要とのこと。

またDXレポートは時代遅れのシステムが多いという課題にも触れています。日本企業の約8割がこのような古いシステムを抱えており、経営上のリスクとなっています。この状態を打破するにはITシステムのほか、経営、人材面も含めたDXが必要でしょう。

 

DXレポートの内容:「DX推進ガイドライン」とは

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DXレポートの提言を元に、経済産業省はさらに「DX推進ガイドライン」を作成しています。このガイドラインは比較的規模のある企業を対象としており、DX実現のために経営側が整備すべき事項が記載されています。さらにDX推進ガイドラインは、取締役会や株主など利害関係者によるDX推進状況のチェックに活用できるでしょう。

具体的には、ガイドラインでは経営側のDX推進体制とITシステムの構築体制の整備についてまとめられています。特に数値などの定量目標は定められておらず、DX推進に際し望ましいとされる定性的な項目について定めています。その内容をざっと解説しましょう。

【DX推進ガイドラインのまとめ】

(1)経営側の推進体制

1.経営戦略・ビジョン提示

2.経営トップのリーダーシップ

3.革新意識の醸成、推進体制整備、人材の育成・確保

4.コストでなく革新目的のIT投資

5.変化へのスピーディーな対応

(2)ITシステムの構築体制

(2)-1 DX構築体制

6.全社的なITシステム構築体制(組織と役割分担)

7.ガバナンス:セクショナリズムの回避

8.ガバナンス:ベンダー依存でなく主体性のあるDX計画

9.各事業部門による要件定義の実施

(2)-2 実行プロセス

10.現状のIT資産の分析・評価

11.仕分けと移行計画

12.市場変化への即応力

つまり、このガイドラインは経営側の方針決定・支援と、具体的なDX構築体制の計画・実行が必要なことを示しています。トップのリーダーシップと現場の体制が両輪となり、DXが実現するのです。

 

DXレポートの内容:DXの推進指標とは DXにおける日本企業の現状

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経済産業省は2018年のDXレポートとDX推進ガイドラインに続き、翌年2019年の7月に「DX推進指標」を公開しました。これはガイドラインで提示した経営側の推進体制とITシステムの構築体制の進捗状況を6段階にレベル化し、さらに新たに定量的な項目を設け、その算出目安も設定しています。

DX推進のための定量目標

・ビジョン

・仕組み

・事業への落とし込み

DX推進のための定性目標

・競争力強化

・DXの取り組み状況

ITシステム構築への定量目標

・ITシステム構築

・ガバナンス・体制の構築

ITシステム構築への定性指標

・ITシステム構築の取り組み状況の把握

レベルによる目安

レベル1:未着手

レベル2:一部門内の実施

レベル3:全社方針による一部実施

レベル4:部門横断的な実施

レベル5:持続的な実施体制

レベル6:グローバルな競争力を有す

さらに、このDX推進指標を元に企業が簡易な自己診断を行い、第三者機関が集計した全体データとの比較やベンチマークも可能になりました。これは社内関係者による現状把握と課題認識の共有を図り、さらなる推進につなげる機会提供を目的としているとのことです。

なお、IT情報サイトの『IT Leaders』によれば、2020年2月に経産省と委託事業者のIPAはこの自己診断を実施した企業が277社に上り、自己診断の平均値は現状が1.42、目標値は3.06だったと報じています。つまり、DXの推進指標から考えると、企業のDX化はまだまだ進んでいないことがわかりますよね。

 

DXの本格的な発展を阻む「2025年の崖」とは

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ところで、経産省のDXレポートでは「2025年の崖」の存在が指摘されています。これは世界的なIT企業、SAP社が看板商品の基幹システムの標準サポートを2025年に打ち切ると表明し、各国の企業が対応に追われることを指しています。実際にはSAPのサポート終了は2027年末まで延長されることになりましたが、いずれにせよ、統合業務システムの移管は企業にとり大きな負担になるでしょう。

日経BP社によると、日本企業のSAP導入社数は2,000社程度と推計されています。SAPは中堅・大企業のユーザーが多いですが、日本経済に与えるインパクトは幸いにも軽微にとどまると考えられています。しかし、あえてこの問題がクローズアップされたのは、日本企業が共通して持つITに関する課題をはらんでいるからです。

現状、日本企業には老朽化や肥大化・複雑化、ブラックボックス化した「レガシーシステム」によるリスクを抱えています。リスク低減とDXを実現するためには、経営改革と技術的な負債解消が必要です。

このままだと2025年のSAPのサポート終了のように、業務の継続すら困難になるかもしれません。そうなると、企業は立ち行かなくなってしまいますよね。

つまりDXレポートで2025年の壁において、競争力や成長力アップのためには、業務プロセスの見直しと、古いシステムの維持費を削減し新技術への投資原資を確保すべきだと主張しました。

 

企業におけるDX実現のポイント

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DXレポートでは「2025年の崖」の企業リスクを警告し、DXの必要性を説いています。企業のDX実現のポイントは、経産省のガイドラインやDX推進指標で示されていますが厳しい要件となります。

なぜならDXのプロセスにおいて、IT活用の仕組み構築の前に、改革や事業創出におけるトライアンドエラーを許容する風土と体制づくりを求められているからです。具体的にはDX推進において担当部署や人員、役割分担を決めなければなりません。柔軟な編成ができるベンチャー企業や、大きなリスクが取れる大企業でないと、これらの基準に沿った体制の構築は難しいでしょう。

そこでDXの必要性を指摘していたDXレポートに立ち返って考えたほうが、DX推進の方向性が見つかります。

サポート終了、セキュリティ・BCPへのリスク→クラウドなど新システムに刷新
保守・運用の属人化によるコスト(技術的負債)→新しい技術に人材と資金をシフト
ビッグデータ活用に乗り遅れ、敗者になる→データ活用による迅速な経営体制と事業展開

システムの維持リスクに対応するには、自社対応が極力不要なクラウドへの移行が一般的な手段となります。これに関連して、維持コストの低いシステムならば、現状のITコストの大幅削減が図れるでしょう。5G時代においては、IoTとビッグデータに対応しないとシェアの縮小に追い込まれる可能性もあります。

DXの実現は新システムを導入するだけにとどまりません。システム維持にかかるコストをいかに新しいIT技術の導入に振り向けられるか、また飛躍的な処理能力を持つIT技術を活用したスピード感ある経営も必要になります。ぜひ、これらを実現しましょう。

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さて、今回は企業のIT活用の諸問題をとりあげた「DXレポート」と、DX推進のためのガイドラインや指標について紹介しました。

それぞれの要点は以下になります。

  • DXレポート :日本企業のレガシーシステムの刷新と経営改革の必要性
  • DX推進ガイドライン:経営体制構築とITシステム構築体制の整備における必要事項
  • DX推進指標 :DX推進の進捗段階を6つのレベルに設定、企業の自己診断を促す

ガイドラインに基づく社内体制の整備や、推進指標を元にした診断の活用は、多くの企業にとって難しい面があります。まずはDXレポートにある旧システムの見直しや、BCP対策としてのシステム刷新から手をつけるのが、DX実現への現実的な手段です。

弊社では、そんなDXの導入にコンサルティングを行っています。「自分の企業でDX化を進める必要がある」と感じた方は、まずお問い合わせください。

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